お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「営業一課の遠藤課長が定年退職をされます。人事異動を検討しています。」
「佐々木主任が適任かと。」
「佐々木主任は確かに営業実績は高いですが、最近精神状態が不安定だと聞いています。負担にはなりませんか？」
咲は毎日化粧品メーカーと製薬会社に顔を出す。
社長室だけでなくほかのフロアを回りながら会社の内部の状態をよく把握していた。

「確かに」
社長に就任してから月日が流れ、社員たちも咲の努力と実力を認め始めていた。
それだけ判断を迫られることも、責任も増えた咲。

「遠藤課長はじめ、部長や係長の意見も尊重しながら選任しましょう。まだ定年退職までは半年。その間に引継ぎの期間を入れたらどのくらいの時期に判断するべきですか？」
「そうですねー。」
咲は人の話を良く聴く。
何かを判断するときも、自分の独断ではなく関わるたくさんの人から話を聞いている。

その姿勢が咲の信頼へと繋がっているように真岸は思っていた。