お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「もう一度聞きます。なぜ売り上げが落ちたのか。」
玲は咲に近づく。

「聞いてくれるの?」
「もちろん」
「原料の高騰と輸送にかかる費用が予算を越えてしまったことにより、商品の販売価格を2パーセントほど引き上げました。今期、注目されたのは低価格でカバー力の高い海外ブランドのコスメでした。宮ノ内グループとして製品の価格を優先して原料に妥協をするか、原料へのこだわりを優先するか、判断に難しい状況がありました。」
「結果は?」
「原料の高騰をカバーできるように、別の販売元を確保しました。しばらく原料の価格に左右されず安定した価格設定で商品が販売できます。それからカバー力に関しては他社の開発した商品よりも、肌に負担の少ない製品の開発に成功し特許を出願中です。それが許可されれば、販売独占権をとることができ、必ず10パーセント以上今期を上回る利益を生み出すことができます。」
「確かですか?」
咲は頭を下げまま床を見つめて話を続ける。
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