お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「でも考えてしまうんです。たった一人でも、その人の人生とか、周りの人のこととか。」
正直な咲の言葉に政信は咲の方を見つめる。

「仕方ないな。それがお前の性格だ。変えられないと私も悟った。」
あきれたように視線をそらす政信。
「思うようにやりなさい。でも、また仕事を休むような事態だけは避けるように。」
「はい。」
父は経営者としてではなく、娘として認め始めてくれているのではないかと思えることが最近は増えた。
「ありがとうございます。」
「ほめたわけじゃない。」
「申し訳ありません。」
「謝れとは思っていない。」
本当に不器用な人だと思いながら、真岸は政信の方を見た。

「お前一人では背負えないと私も悟っている。」
父の言葉に咲が父をまっすぐに見つめる。