お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「すでに注目を集めている商品がいくつもあります。雑誌にも特集を組まれる予定をしていますし、大手デパートやドラッグストアでも販売をしたいと申し出を受けています。様々な年齢を対象としたアンケートでも注目の商品としてランクインしています。」
咲は話が終わると、顔をあげた。

「って言えたらいいのにね。」
ちらりと玲の方を見る咲。
まだ体が震えているのが分かる。
強がってぎこちなく微笑む咲の姿に玲は心が痛んだ。

「朝食、ご用意いたします。」
玲は咲がもう一度座れるように椅子をひこうとする。
「せっかく作ってもらったけど、今日は食べれそうにないわ。ごめんなさい。」
咲は近くに控えていた給仕に声をかける。

「せめてスープだけでも。」
「ごめんなさい。」
咲の瞳は少しだけ潤んでいる。

玲はこうして、咲の隣に居ても、咲が苦しくてつらくて倒れそうなときでも、ちゃんと守り切れない自分にいつだって悔しくて仕方ない。
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