お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

会議室にいた社員たちが咲の声に座る。

「おかけください。」
ひとり、まだ立っていた社員に、咲の後ろに控えている真岸が声をかける。

「どうされました？おかけください」
もう一度声をかけるも、その社員が席に座るどころか、うつろな目で足元を見ていて、咲も真岸も、会議室にいる社員たちも視線を向ける。

「遠藤課長、会議を始めますので、おかけください」
咲も立ったままの課長に声をかける。

真岸が不審に思い、課長の方に近づこうとする。

「この40年、私はすべての人生をささげてこの仕事にかけてきました。気づけば結婚もせず、ろくに遊びもせず、人生のほとんどの時間を仕事に向けていました。宮ノ内グループで代表の付き人をしていた時代を含めれば45年です。」
急に話し出した課長に、真岸は動きをとめた。