お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「でも・・・定年退職。」
足元を見たまま話し続ける課長に咲は心配になる。

「まだまだ先の人生は長い。だから、雇用継続をお願いした。なのに、継続は取り下げられた。」
咲は課長とのやりとりを思い出す。

短時間でもいいから、雇用を継続してほしいと願い出て来た課長。
しかし、健康診断の結果と最近の勤務実績を見て、これ以上勤務を続けるよりも退職金を上乗せして支払いゆっくりと過ごしてほしいという判断を咲はした。

「それは社長が遠藤課長のためにと決められたことでしょう。その分、通常よりもかなり上乗せをして退職金を支給すると判断された。その判断についても我々は同意しました。」
どんなことでも社員たちと相談をして進めるのが咲の方針。
遠藤課長の近年の様子を間近で見て来た社員たちは口をそろえて勤務継続は難しいと判断した。
営業一課の部長が口をはさむ。