お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「あいつにそっくりの咲が宮ノ内でこれだけ成績を上げている。部下からの信頼も集めながら。それは咲の努力以外なんでもない。」
「・・・」
「逃げることだって、諦めることだってできるのに。咲はそれをしない。いっそ、逃げてほしいと思っていたこともあった。」
政信が咲に必要以上に厳しくしていたのには、玲にも計り知れない想いがあったからだと玲は気づかされた。

「こんな目に遭わせるとわかっていれば・・・はじめから巻き込まなければよかった。」
政信が咲を見つめながら、つらそうに唇をかみしめる。

「お嬢様のことは私が一番よく知っていると、自分の存在を驕っていました。」
玲が咲に近づきその手を握る。
「お嬢様には俺しかいないと。いつか、この孤独な、閉鎖された場所から俺が連れ出すんだって。それがお嬢様にとっても望んでいることなんだって。希望なんだって。」
つめたい咲の手を包み込むように握る玲。
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