お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「でも違いました。咲は決して、自分の運命から逃げようとは思っていなかった。そんなこと望んでいなかった。」
政信が玲の方を見る。
「お嬢様の中には、母親の血も流れていますが、代表の血も流れています。途中であきらめたくない。背負ったものを簡単に手放せるような無責任な人ではない。そうわかった時、あー今のままの自分じゃだめだなって思ったんです。」
政信が視線を咲に戻す。そっと娘の髪を撫でながら玲の話を聞く。
「お嬢様は、背負っているものを自分のすべてをかけて守ろうとしてる。お嬢様も、お嬢様の背負うものも、一緒に守れる人間にならないとと思ったんです。だから、留学の話もうけました。」
政信から提案された留学。
はじめは咲の元から離れることが嫌だった。

それでも、自分の体も心も犠牲にしながらも必死に自分の背負っているものを守ろうとする咲に、背を押された。
「代表はわかっていたんですよね?お嬢様の想い。」
玲の言葉に政信はふっと笑う。

「どうかな」
とぼけたように言う政信。
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