お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
咲は一瞬泣きそうな顔をしてから、いつものように自分の感情を押し殺して、無理に微笑む。

「あなたがいてくれることは、せめてもの私の救いよ。」
あまりに切ない声でそうつぶやく咲の声。
今にも消えそうな儚い声。

咲は潤んだ瞳のまま庭園の方に視線を戻した。

「カモミールティーです。心がリラックスできますよ。」
玲は咲の手に温かなカップを渡した。

「ありがとう。」
こらえた涙と一緒に、咲は温かな紅茶をのみこんだ。

唯一、この場所だけは自分らしく呼吸ができる。
そんなことを考えながら深呼吸をする。
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