お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「そういえば克子さんは？」
少しして咲が玲の方を見る。
克子とは、庭園の花を昔から管理している庭師だ。
「見当たりませんね。」
「体調でも崩したのかしら。いつもならこの時間にはいるはずなのに。」
克子は咲が幼いころから庭園の管理を任されていて、咲の母も仲が良かった。
もう70歳を超えた高齢で、咲は実の祖母のように気にかけている。

咲がこの東屋に来るときはだいたい、姿を見かけて話しかけてくれる存在だ。

玲と咲のように、克子も代表がいない場所では咲に対して遠慮せず関わってくれる存在で、咲を支えていた。

「あとで確認してくれる？」
「承知いたしました。」
咲の言葉に頷いた玲。

腕時計に目を向けるて、咲の方に視線を戻した。