お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

無力さに玲は病室の外の廊下で両手を強く握り閉める。

「私のせいだ」
その声に隣をみると廊下のベンチで頭を抱える政信がいた。
「やっぱり、咲を巻き込むべきじゃなかったんだ。」
大きな運命を娘に背負わせてしまったことに強く責任を感じている政信を見ながら、玲は考えていた未来に、さらに迷い始めた。




朝になり、やっと玲と政信が病室に入ることを許された時、ベッドの上で咲は酸素マスクをつけて、たくさんのモニターに囲まれていた。

真っ先に咲に近づいた政信がそっと咲の前髪を撫でる。

その顔色の悪さと肌の冷たさに、政信はすぐに咲から手を離して唇を強くかみしめた。