お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
医師の診察が終わり、病室に戻った玲と政信。
玲は政信に遠慮をして、政信の後ろに立つ。

政信はゆっくりと咲のベッドに近づくと、ぐったりとベッドに横になったままの咲の隣に立った。

「もう・・・やめなさい。」
父の言葉に幾筋もの涙を流す咲。
鼻からチューブで酸素を取り入れている咲。
まだまだ回復していない。

「もう・・十分だ。」
政信の絞り出すようなかすれた声。
咲は次々に新しい涙を流す。

「もう・・・頑張らなくていい。十分だ。咲。」
政信と咲の関係をずっと見て来た玲も、熱くこみ上げるものがある。
< 273 / 320 >

この作品をシェア

pagetop