お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「そういえば、改築工事はいつ終わるんだ?」
「今週中には終わる予定です。」
「今日、お嬢様と一緒に確認をする予定です。」
「お嬢様じゃないだろう。」
玲と父のやり取りを見てふっと笑う咲。
「つい。癖で。」
「何を言ってる。秘書兼護衛係をしているころから二人の時は名前で呼んでただろう。」
「ご存じでしたか。」
「私が知らないことなどない。」
「そうでした。」
玲が咲の方を見る。

ふたりの左手の薬指には同じ指輪が輝いていた。

二人は半年前に入籍した。
結婚式は二人でフランスの教会で挙げた。

日本ではお披露目会として、親しい人や取引先の重役たちを招いて盛大に行った。
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