お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
政信は食後のコーヒーを飲みながら玲の方をちらちらとみる。
明らかにいつもとは違う不審な動きに玲は政信を見た。

「何か気になることでも?」
政信聞くと政信はまた一口コーヒーを飲んでからうつむきがちに言う。

「いろいろと買ってきたんだ。隣の部屋にあるから、時間を見つけて咲に渡してほしい。」
「いろいろ?」
「あぁ」
「直接渡されたらいかがですか?最近は毎朝朝食を一緒にとれるようにしていただいていますし、体調のいい日なら咲もここに」
「いや、いいんだ。」
めずらしく煮え切らない態度の政信に首をかしげる玲。

食事が終わり政信が仕事へ戻ってから家政婦が玲に声をかけた。
「お嬢様は今日も食事は難しいですか?」
「昨夜眠れないくらいつわりがひどくて。今はまだ眠っています。あとで体調が落ち着いている時に何か食べさせます。」
「その時は声をかけてくださいね。」
「ありがとうございます。」
玲は家政婦にお礼を告げてから、政信の言っていた食堂の隣の部屋に向かった。
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