お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
正直咲に話をしなかったことを後悔する。

庭園の中でも咲が一番気に入っている、季節の花が一面に咲くのを一望できる東屋に真っ先に向かう。

「咲っ!!」
誰に聞かれようと今は関係ない。
「咲!!」
強くなる雨に打たれながら、玲は東屋から離れて咲の姿を探す。
次に向かうのは克子がいつも作業をしていたハウスだ。

『バンッ!』乱暴にハウスの扉を開けた玲。
中を走り回り咲の姿を探す。

「咲!」
でも咲の姿も返事もない。
「咲!」
ありったけの声を絞り出してその名前を呼んでも咲がいない。
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