お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「咲!」
何度も何度もその名前を呼ぶ。
雨で体がびしょぬれになっても。
濡れたからだから湯気が出るくらい、玲は必死に走って咲を探す。

「咲!」
その時、視界の先に、倒れている咲を見つけた。

「咲っ!!!」
すぐに駆け寄り、地面に倒れている咲の体を抱き起す。
「咲!」
その顔に容赦なく打ち付ける雨。

抱き上げた咲の体があまりに冷たくて玲は唇をかみしめる。

思わず、こらえきれない想いが溢れて、強く強く咲の体を抱きしめた。
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