お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「あの頃に戻れたらいいのにな」
これは玲の本心だ。
言っても咲を困らせるだけだと、ずっと胸の中におさめて来た。
ずっと子供のままなら、こんなにも華奢な体で、背負うには負担が大きすぎるものを背負わずに済んだ。

ずっと子供のままなら・・・期限付きで離れなくてはならない現実など、迎えずにすんだ・・・。


玲が咲のそばにいられるのは・・・あと・・・半年と決まっていた・・・。


「戻りたいな・・・。」
気を失っている咲に、玲は話す。

強い強い雨できっと何を話しているか聞こえないだろうと思いながら。
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