お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
咲の部屋についてすぐに、玲は部屋にある浴室に向かった。
背中から咲を下ろしてすぐに湯船に咲の体を服を着たまま座らせて、全身に熱いシャワーのお湯をかける。

明るい場所で咲を見ると、その顔色の悪さに心配を通り越し、不安になった。

意識がない咲の体を支え、シャワーのお湯をかけながら玲は頬を撫でる。

大きな後悔と、大きな不安に押し潰されそうになりながら、玲は咲が意識を取り戻したとき、もう一度笑ってほしいと願う。

どうか心が壊れていないようにと祈る。

「ごめんな、咲。」
まるで涙のように、玲の濡れた髪から滴が落ちた。
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