お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「私と父の間で決めていたことです。体調ならもう薬も効いて大丈夫です。もう約束の時間まで、あまり時間がありません。行きましょう。」
咲はそう言って、机を支えにするようにして立ち上がった。

「無理です。立っていることだって精一杯なのに。」
思わず咲に近づき咲を支える玲。
「大丈夫です。」
咲はそっと玲の手を払い、自分の足で立ち、颯爽と歩き始めた。

まだ熱だって下がっていないはずだ。
絶対に大丈夫なわけがない。

なのに・・・玲の前なのに気丈にふるまおうとする咲の気持ちが見えない。

玲は咲が歩く後ろを歩きながら、咲が倒れた時に支えられるように距離をつめた。
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