お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「克子さんが亡くなったこと、私に言わなかったのは私を心配してくれてでしょ。」
「・・・ごめん。」
「いつだってそう。玲は私のことを何より優先してくれて、いつだってそばにいてくれた。励まして支えて、守ってくれた。」
「・・・」
「すごく、すっごく感謝してる。」
庭園から視線を玲に戻した咲。

その瞳には今にも溢れそうな涙が満ちている。

「ありがとう。」

今日咲がベッドで、玲に言った”ありがとう”の意味がやっと分かった。

「でも、玲にはもっとはばたいてほしい。」
「言っただろ？俺は咲のそばが」
「違う」
玲の言葉を遮る咲。