お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

「咲」
「あなたは宮ノ内グループに必要な人。だから、ずっといてほしい。そばにはいられないけれど、でも、どこかに玲の存在を感じられることが私の希望なの。たったひとつ。最後の希望。だからお願い。どこかへいなくなるのだけはいやなの。これは私のわがまま。最後のわがままだから。」
咲の瞳から涙があふれ出す。

一度あふれ出すと次々にぽたぽたと涙が溢れる。
大粒の涙が音を立てて落ちる。

玲にはわかってる。
『・・・でも、結局私の秘書として、玲の才能は埋もれたままだわ。今の私には何も力がなくて、あなたを羽ばたかせてあげたくても、そのチャンスすら作れない。』

庭園に来たあの日言った咲の言葉をしっかりと覚えている玲。

咲は自分のために離れることを選んだのだと。
玲には痛いくらいにわかっている。