お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「玲」
「・・・ん?」
「ありがとう。」
「・・・」
のど元まで出かかる言葉を必死に飲み込む玲。

好きだ。愛してる。
いっそこの想いを言ってしまいたい。

でも言って楽になるのは自分だけだとわかっている。

玲が口にすれば咲は苦しむ。
余計につらくなる。

これから咲を待っているつらく過酷な運命に、自分は足かせにしかなれない。

「わかった。」
何とか絞り出した玲の言葉に、咲はやっと上手に微笑む。
< 53 / 320 >

この作品をシェア

pagetop