お嬢様の恋 ～秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない～

しかし、どこかに人間らしさもちゃんと持っているのだと知ることができた。
それだけでも、咲の元を離れないとわからなかったことであり、大きな収穫のようにも思う。

政信は淡々と仕事を効率よくこなし、玲はその補佐として、ペースに合わせて仕事ができた。

政信は別宅をいくつも持っていて、その日その日で夜眠る場所を変えていた。
これはマスコミに常に行動を監視されている政信の昔からの、逃げ方でもある。

「それでは明日の8時にお迎えにあがります。失礼いたします。」
深く頭を下げて、都心にある別宅の玄関前で玲は政信に頭を下げる。

この別宅に来るときは、政信はゆっくりと眠りたい日が多い。
中にはホテル内にもっている部屋もあり、その部屋に向かうときは仕事を一晩中したい時に選ぶ。

その日により、政信なりに理由を持って別宅を選んでいることも玲はわかっていた。

咲の住む家に戻る時は・・・どういうときなのかまだ玲にはよくわからない。
でも唯一わかるのは政信は決して本当の家では眠らない。