お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
電話の向こうの音に耳を澄ませる。

「咲?どうした?」
何も話をしない咲。
でも、間違い電話でも携帯電話の誤作動でもないことは明らかだ。

「咲」
切らないでほしいと願いながら玲は話続ける。
咲の名前を呼び続ける。

「どうした?何があった?」
何かあったのは明らかだ。

玲は返事のない咲の状態に嫌な予感がして、すぐに車のキーと上着、財布を持って家を出た。
車に向かう最中も、咲のいるであろう邸宅に向かうときも、玲は咲の名前を呼び続ける。
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