好みの彼に弱みを握られていますっ!
 落ち着いた照明が等間隔で廊下を照らしているため、暗さは感じないけれど、貧乏人の(さが)かしら。ちょっぴりお日様が恋しいぞ、とか思ってしまった。

 うちのアパートなんて外廊下タイプで、床はコンクリートの打ちっぱなし、電気なんて各戸の前に取り付けられた蛍光灯入りの門灯だけなのにっ!って思ったら、これはこれでやっぱり落ち着かなくて。


「キョロキョロしていてはぐれないでくださいね?」

 そう念押しされてしまったのも無理はない。

 だって私、こんな高層のマンションに入ったことないんですもの。
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