好みの彼に弱みを握られていますっ!
「子供じゃないので迷子にはなりません!」

 織田(おりた)課長から6〜7歩分は遅れを取っていたので、思いっきり見栄を張ってそう言いながらも慌てて早歩きをして距離を詰める。

 ここに至るまでのあちこちで、織田(おりた)課長の顔認証システムのお世話になってきたことを思い出したからだ。
 私ひとりになってしまったら、途端セキュリティに弾かれたりしそうで怖い。

 実際には中から外へ、はそんなに心配しなくてもいいのかもしれないけれど、どうしても不慣れゆえに最悪の事態を想定してしまう。


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