好みの彼に弱みを握られていますっ!
 それを抗議と受け取ったらしい宗親(むねちか)さんが、

「どうもキミには時折、〝うちの妹〟にするみたいに接してしまっていけませんね」

 珍しく感情もあらわに眉根を寄せてそう付け加えて。


 ――あー。なるほど、私、妹さんとダブっちゃうんですね。


 頭に触れられたまま、ほんわりそう思ってからハッとする。


 ――い、今、何ておっしゃいましたっ!?


「あ、あのっ。宗親さん、妹さんがいらっしゃるんですか?」

 てっきり自分と同じように、彼もひとりっ子だとばかり思っていた私は、思わず頭に載せられたままの宗親さんの手を取って勢いよく食いついた。


 〝宗親さん!
 形はどうあれご両親の愛情を独り占めしているようにしか見えなかったけど、違うのですかっ!?〟

 心の中ではうるさいくらいにアレやコレやと叫んでいたけれど、それらは何とか口には出さずにおいた。
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