好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

「1分以内って……カップ麺も出来ないじゃないですか〜!」

 そんなどうでもいいことを引き合いに出して振り返りざま、宗親(むねちか)さんをキッと睨んで抗議したら、彼が一瞬だけ瞳を見開いてから楽しそうにククッと笑った。

 その笑顔はいつもの嘘くさい腹黒スマイルではなくて、本心からの笑顔に見えてドキッとする。

 何なんですか、今の可愛い笑顔。
 反則過ぎますっ。

 と思ったのも束の間。


「下着をひとつふたつ脱ぐぐらいで3分も待たされたら堪りません。1分過ぎたらお迎えにあがりますので、そのつもりで」

 にこやかにそう返されて、私は絶句する。

「では、カウントダウンスタートです」

 言われて「60、59、58……」とわざとらしく数字を数えられ始めた私は、慌てて脱衣所にダッシュした。


 いずれにしても、宗親さんは私を食べることを諦めるつもりはないみたいで。

 私みたいな小娘相手に「待てない」とか信じられませんし、何だか揶揄われているだけな気がしてきましたが如何でしょう?
< 191 / 571 >

この作品をシェア

pagetop