好みの彼に弱みを握られていますっ!
 案外覚悟を決めて戻ってきたら、スヤスヤとお休みになられているとか……そんなこともある気がしてきました。

 っていうかそれを期待してしまってから、1分で寝てたらあの国民的アニメの、猫型ロボットと同居している眼鏡の彼と一緒だよ、と思って、「さすがにそれはないな」と溜め息をつく。


 脱衣所でカップ付きのタンクトップを脱いでから、宗親(むねちか)さんにお借りした彼シャツを羽織り直すと、胸のあたりがすごく心許なくてソワソワして。

 生地が胸の先端に触れることなんて、家にいれば入浴後には日常茶飯事のはずなのに、着ているのが自分の服じゃないからかな。
 すごく意識してしまう。

 しかも私の胸は先端が陥没しているから……きっと一般的な女性たちより受ける刺激は少ないはずで。

 ――普通のお胸だったら、ここで先端がチョンと服を突き上げたりする……のかな。

 自分には有り得ないことだけど、想像すると何だかエッチで、ビジュアル的にそそられるの、うらやましいなって思ってしまった。

 結果、とんがりがないというのが逆に恥ずかしく感じられて、ギュッと胸元を掴むようにして浮かせたら、それはそれで不自然で。

「う〜」

 洗面所の鏡の前で、一人うなり声を上げていたら、1分経っちゃう!?ってハッとして。

 急いでトランクスも脱いで、脱ぎたてのタンクトップと一緒に半ば丸めるみたいに手にすると、急いで寝室へと戻った。
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