好みの彼に弱みを握られていますっ!
「……わ、私っ。不、感症……なんですっ。……お、男の人に面白みがない女だって……ガッカリされるのはっ、もう、イヤなん、です……」

 腕を頭上で束ねられていて、宗親(むねちか)さんが胸部に触れる手を止めることのできない私は、涙目で彼を見上げて訴えた。

 こんなところまで来て、今更これ。

 胸の見た目が悪いだけじゃなく、感度まで最悪だと……。
 宗親さんみたいに死ぬほど好みのド・ストライクでカッコイイ、素敵な男性に自分から告白するのは、泣いちゃうくらいに情けなくて……震えるくらいに恥ずかしかった。

 きっと、こんな私、凄く凄く興醒めだし、宗親さんにも呆れられてしまうに違いない。


 そう思ったけれど、宗親さんは私の予想に反して、頭上に縫いとめていた手を解放して下さると、優しく私の頬に触れてきた。


春凪(はな)。どうしてそんな悲しいことを言って、自分を貶めるんですか?」

 そうして私の目尻ににじんだ涙を人差し指でそっとすくうと、

「僕を……、キミの最低な元カレと一緒にしないで?」

 いつもより少し砕けた口調で優しくそう告げられて、労るようにそっと唇をふさがれる。
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