好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

 先程社長に言われた通り、3階の管工事課の門戸(もんこ)を叩いた私に、

「ここの課長でキミの教育係の織田(おりた)宗親(むねちか)です。よろしくね」

 にこやかに微笑んできたのは……あろうことかバーで私を笑ってきた、めちゃくちゃ好みの()()()だった。

 もう2度と会うことはないと思っていたからこそ、かっこいい男性に陥没乳首(あのヒミツ)を知られているかも?と思っても「まぁいいや」と開き直っていられたのに。

 まさかまさか……直属の教育係(じょうし)になるなんてっ!

「き、聞いてない……!」

 思わず心の声が途中から声になって、外に溢れ出してしまった。



 私が就職した会社はいわゆる中小企業。

 全従業員数だって100人ちょっとの中規模な会社だ。

 でも、だからと言って、あんなに沢山人がいるのに! どうしてよりによって織田課長(このひと)が私の担当なんでしょう!?
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