好みの彼に弱みを握られていますっ!
「初っ端から上司の言うことを聞いていないと宣言するとか、キミはいい性格をしていますね」
にこやかな笑顔のままそんな風に言われて、心は絶対笑ってないですよね!?とドギマギする。
「あ、ち、違っ。お、織田課長のお話はちゃんとお聞きしてますっ。た、ただ……」
そこで先日のバーでの一件を言おうとして、いや待てよ?と思い直す。
だってほら、彼、すごく普通に接してくれてるしっ。
もしかして……あの日、バーで飲んだくれて彼氏にふられた愚痴を盛大にこぼしていた私と、いま目の前にいる新入社員が、同一人物だとは気付いていないのかも知れない。
バーの照明、ムーディーで薄暗かったし!
うん。下手なことを言って墓穴を掘るのはやめておこう。
ここは素知らぬ顔でスマートに、にこやかに。
「初めましてっ! 今日からこちらでお世話になります、柴田春凪と申します。不束者ですが、よろしくお願いします」
努めて「初めまして」のところを強調して頭を下げたら、クスッと笑われて。
ほんの少し距離を詰められてから、
「初めまして? キミはあの夜のことをもう忘れてしまったの?」
小さくつぶやくようにそう告げられた。
にこやかな笑顔のままそんな風に言われて、心は絶対笑ってないですよね!?とドギマギする。
「あ、ち、違っ。お、織田課長のお話はちゃんとお聞きしてますっ。た、ただ……」
そこで先日のバーでの一件を言おうとして、いや待てよ?と思い直す。
だってほら、彼、すごく普通に接してくれてるしっ。
もしかして……あの日、バーで飲んだくれて彼氏にふられた愚痴を盛大にこぼしていた私と、いま目の前にいる新入社員が、同一人物だとは気付いていないのかも知れない。
バーの照明、ムーディーで薄暗かったし!
うん。下手なことを言って墓穴を掘るのはやめておこう。
ここは素知らぬ顔でスマートに、にこやかに。
「初めましてっ! 今日からこちらでお世話になります、柴田春凪と申します。不束者ですが、よろしくお願いします」
努めて「初めまして」のところを強調して頭を下げたら、クスッと笑われて。
ほんの少し距離を詰められてから、
「初めまして? キミはあの夜のことをもう忘れてしまったの?」
小さくつぶやくようにそう告げられた。