好みの彼に弱みを握られていますっ!
宗親さんはそんな私の出立ちにチラリと視線を流して口の端に薄く笑みを浮かべると、そこには言及せずにいてくださった。
意地悪な宗親さんのことだから、何か仰るに違いないと身構えていた私は、少し拍子抜けしてすぐそばに立つ宗親さんを呆然と見上げた。
宗親さんは惚けたままの私の頭をクシャリと撫でると、「――とりあえず僕もシャワーを浴びてきますね」と、こちらの返答も聞かずに脱衣所の扉を開けてしまう。
思わずその艶っぽい後ろ姿を目で追ったら、宗親さんってば扉を締め切る寸前になって、さも何でもない付け加えみたいに爆弾を投下していらした。
「そうそう。――ドライブついでに春凪のご実家にご挨拶へ伺おうと思っていますので、ご両親にアポを取っておいて下さいね」
思わず何も考えずに「はい」と答えてしまってから、数秒遅れて「ぴゃいっ!?」と変な声が出たの、仕方ないよね?
そもそも投げかけられた言葉が、「取っておいて〝頂けますか〟?」ですらないところに、これは決定事項ですよ、という宗親さんの明確な意思を感じさせられるようで、やられた!って思ったの。
――宗親さん! 何故いきなりそんな勝手に話を進めようと!
そう抗議したくて慌てて宗親さんに疑問をぶつけようとしたけれど、時すでに遅し。
閉ざされた扉の向こう側。
あっという間にシャワーの音が聞こえ始めて、私はひとり、中途半端に廊下で立ち尽くす羽目になった。
来週末というと、アパートの退去まであと1週間と差し迫った頃合いで。
――正直悠長にそんなことへ費やしている暇などないと思うのですよ、宗親さんっ!
そう一生懸命心の中で叫んだ私だったけれど、当然宗親さんには届かなかった。
ばかりか――。
意地悪な宗親さんのことだから、何か仰るに違いないと身構えていた私は、少し拍子抜けしてすぐそばに立つ宗親さんを呆然と見上げた。
宗親さんは惚けたままの私の頭をクシャリと撫でると、「――とりあえず僕もシャワーを浴びてきますね」と、こちらの返答も聞かずに脱衣所の扉を開けてしまう。
思わずその艶っぽい後ろ姿を目で追ったら、宗親さんってば扉を締め切る寸前になって、さも何でもない付け加えみたいに爆弾を投下していらした。
「そうそう。――ドライブついでに春凪のご実家にご挨拶へ伺おうと思っていますので、ご両親にアポを取っておいて下さいね」
思わず何も考えずに「はい」と答えてしまってから、数秒遅れて「ぴゃいっ!?」と変な声が出たの、仕方ないよね?
そもそも投げかけられた言葉が、「取っておいて〝頂けますか〟?」ですらないところに、これは決定事項ですよ、という宗親さんの明確な意思を感じさせられるようで、やられた!って思ったの。
――宗親さん! 何故いきなりそんな勝手に話を進めようと!
そう抗議したくて慌てて宗親さんに疑問をぶつけようとしたけれど、時すでに遅し。
閉ざされた扉の向こう側。
あっという間にシャワーの音が聞こえ始めて、私はひとり、中途半端に廊下で立ち尽くす羽目になった。
来週末というと、アパートの退去まであと1週間と差し迫った頃合いで。
――正直悠長にそんなことへ費やしている暇などないと思うのですよ、宗親さんっ!
そう一生懸命心の中で叫んだ私だったけれど、当然宗親さんには届かなかった。
ばかりか――。