好みの彼に弱みを握られていますっ!
 このお部屋に移り住むことを想定して、前もって白や黒を基調としたものに買い替えることも検討したけれど、ハートラグ自体、就職を機に通販で買ったばかりだったから勿体なくて。

 オマケに部屋が無駄に広いから、多分どんなお色のラグを配置したって、きっと小ぢんまりまとまり過ぎて様にならなかったと思う。


 こんなチグハグな状態で、宗親(むねちか)さんとの〝(ニセ)夫婦生活〟に向けた、いわゆる〝プレ同棲生活〟が始まるんだと思ったら、何となくあのバタついた引っ越し前のあれこれからやり直したいと思ってしまった。

 だって……。あんまりにも宗親さんペースでことが運びすぎてしまって、私、心の準備が出来ていなかったんだもん。

 宗親さんだけ、何もかも訳知り顔でどんどん先に行っちゃうの、ズルイよぅっ!

 私に同居を持ちかけた時には、既に色々覚悟が出来ていたようなことを仰ったけれど、私、そんなにすんなり色々割り切れないんだけどな?

 これって……やっぱり、私の覚悟が足りていないせいですか?


 ほぉっとひとつ溜め息をついて、私は引っ越しのことを切り出された先の土曜日に想いを馳せた。
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