好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

 引越しの際、私が使っていた家具類はほぼ必要ないと言うことでリサイクルショップに持っていくことになった。

 その際、「もし捨てたあとで必要になっても、また新しいのを買い直せば良いでしょう?」という宗親(むねちか)さんの金銭感覚度外視の発言に、私はキッと彼を睨みつけた。

「あるもので間に合いそうなら買いません! 手放すのは本当に不要なものだけです! なのでっ。どうか厳選させてください!」

 そう言って向き合った、長年愛用してきた私の家具たち。

 思えば大学生の頃からの付き合いのものばかりで、4年以上苦楽を共にしてきた品物ばかりだ。

 とは言え、その大半がCMでもお値段以上〜と謳われているお店のもの中心だっただけあって、安価で手頃だった反面、材質のチープさはどうしても拭えなくて。

 おまけに私は割と乙女チックな色合いを好むタイプだったので、薄桃色とか白に近いお色が多かったから。

 正直宗親さんの、あの黒を基調とした大人っぽいお部屋にマッチするか?と考えたら、しないものがほとんどだったの。
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