好みの彼に弱みを握られていますっ!
「――恐らく柴田さんもお察しの通り、僕も織田の家にとって、春凪さんと同じ立場の人間です。なので……僕は柴田家に婿養子として入ることは出来ません。実は本日ご挨拶に伺うに際して、それだけが気がかりだったのです……」
そこまで言うと、宗親さんはそばにいる私の手をいきなりギュッと握っていらした。
「まぁ!」
途端、お母さんが嬉しそうな歓声を上げて、
「ひゃっ、宗親さっ……!?」
私がそれをかき消すように驚きの声を上げた。
両親の前で恋人繋ぎの要領でガッツリ指を絡められてしまったのが恥ずかしくて、私、現状から逃れようと頑張って手を引いてみたけれどびくともしないの。
宗親さんは、そんなに力を入れて握っているようには見えないのに……。
男性の膂力にはやっぱり敵わないんだと、私は今更ながら痛感させられる。
お父さんは、怒るでも慌てるでもなく、まるで品定めでもするみたいに無言でそんな私たちを見つめていて。
それが、やけに不気味だった。
(お父さん、ずっと黙り込んでるけど……一体何を考えているの?)
ソワソワと落ち着かない私の手を離さないまま、宗親さんが、眼前の父をひたと見据えて言った。
そこまで言うと、宗親さんはそばにいる私の手をいきなりギュッと握っていらした。
「まぁ!」
途端、お母さんが嬉しそうな歓声を上げて、
「ひゃっ、宗親さっ……!?」
私がそれをかき消すように驚きの声を上げた。
両親の前で恋人繋ぎの要領でガッツリ指を絡められてしまったのが恥ずかしくて、私、現状から逃れようと頑張って手を引いてみたけれどびくともしないの。
宗親さんは、そんなに力を入れて握っているようには見えないのに……。
男性の膂力にはやっぱり敵わないんだと、私は今更ながら痛感させられる。
お父さんは、怒るでも慌てるでもなく、まるで品定めでもするみたいに無言でそんな私たちを見つめていて。
それが、やけに不気味だった。
(お父さん、ずっと黙り込んでるけど……一体何を考えているの?)
ソワソワと落ち着かない私の手を離さないまま、宗親さんが、眼前の父をひたと見据えて言った。