好みの彼に弱みを握られていますっ!
***


春凪(はな)、そんな所で眠ったりしたら風邪をひきますよ?」

 言って、トロリとした目の春凪の頬に恐る恐る触れてみる。

 ――と、
宗親(むねちか)しゃんの手、大きくて男らしくてカッコいいれしゅね」
 ふにゃんと微笑まれて、伸ばした手を小さな手でギュッと押さえられてしまった。
大好(らいしゅ)きれす」

 スリスリと手に頬ずりされてそんなことを言われたら、手のことを言われていると分かっていても、もしや〝僕自身のことを〟好きになってくれたのかな?と〝勘違いしたくなる〟。


「春凪?」

 ――マズイ。可愛すぎて困るんですけど。

 だなんて、僕がポーカーフェイスのまま考えているとか、この幸せそうな顔をした女の子は(つゆ)ほども思っていないんでしょうね。

 頬に当てた僕の手を握ったまま、スースーと寝息を立て始めた彼女に、僕は小さく吐息を落とした。
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