好みの彼に弱みを握られていますっ!
「あ、あのっ。宗親(むねちか)さんっ。それでっ、その……えっと……そろそろ」

 ――離して頂きたいんですが……と語尾を濁らせる春凪(はな)に、僕は最上級の腹黒スマイルを贈る。

「すみません、春凪。僕は〝キミのお陰で〟昨夜はあまり眠れていないんです。キミはとっても抱き心地がいいので……もう少しだけこのまま……」

 腕の中で「そっ、それは困りますっ」「おひとりの方がきっと寝心地最高ですよっ?」だの『ひゃわひゃわ』騒いでいる春凪を無視して、僕は彼女を抱く腕に力を込める。

 そうして寝落ちしたふりを決め込むんだ。


 僕の可愛い春凪。
 どんなに身じろいでくれても構わないけど、ひとつだけお願い。

 少しの間だけ下腹部にだけは触れないでくれるかな?

 男の、朝にありがちな生理現象だと思ってくれても構わないんだけど……実際のところはあんまりにもキミが可愛過ぎて、今は少しばかり【宜しくない状態】になっているから――。



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【お知らせ】
目覚め後の、春凪(はな)視点バージョンを『コノカレ 番外集』に上げています。
もしよろしければ(✿︎´ ꒳ ` )♡︎
※フォロワー様限定公開の作品集です。
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