好みの彼に弱みを握られていますっ!
22.玉ねぎが目にしみただけ
「柴田さん、この見積書の作成頼めますか? ――僕は午後からあちこち回ってこないといけないので」
婚姻届のことから数日が過ぎた頃。
職場で宗親さんが、珍しく別行動の旨を告げていらした。
何か困ったことがあってもすぐには助けられないけれど大丈夫ですか?と言外に含ませてくる宗親さんに、そう言えばたった半日とはいえ、丸っきり一人にされるのは入社以来初めてだったぁ〜!と気付かされてドキドキする。
いつもならどこに出掛ける折にも付いてくるように言われてばかりだったのに、本当珍しい。
きっと、そんな思いが顔に出てしまっていたんだと思う。
「もしかして寂しいんですか? ――〝春凪〟」
不意に距離をグイッと削られて、耳元を掠めそうな距離、囁くようにそう問われた私は、突然耳を侵食してきた低音イケボに慌てて耳を押さえて真っ赤になった。
プライベートと違い、職場ではちゃんと苗字で呼び合っているのに、わざと「春凪」と呼ばれたことにも心臓をバクバクさせられて。
そんな私の様子を瞳を細めて楽しそうにご覧になる宗親さんに、「絶対揶揄われたぁ〜!」と理解した。
「寂しいわけありまてん!」
でっ、出だししくじった上に噛んだっ!
恥ずかしぃーっ!!
婚姻届のことから数日が過ぎた頃。
職場で宗親さんが、珍しく別行動の旨を告げていらした。
何か困ったことがあってもすぐには助けられないけれど大丈夫ですか?と言外に含ませてくる宗親さんに、そう言えばたった半日とはいえ、丸っきり一人にされるのは入社以来初めてだったぁ〜!と気付かされてドキドキする。
いつもならどこに出掛ける折にも付いてくるように言われてばかりだったのに、本当珍しい。
きっと、そんな思いが顔に出てしまっていたんだと思う。
「もしかして寂しいんですか? ――〝春凪〟」
不意に距離をグイッと削られて、耳元を掠めそうな距離、囁くようにそう問われた私は、突然耳を侵食してきた低音イケボに慌てて耳を押さえて真っ赤になった。
プライベートと違い、職場ではちゃんと苗字で呼び合っているのに、わざと「春凪」と呼ばれたことにも心臓をバクバクさせられて。
そんな私の様子を瞳を細めて楽しそうにご覧になる宗親さんに、「絶対揶揄われたぁ〜!」と理解した。
「寂しいわけありまてん!」
でっ、出だししくじった上に噛んだっ!
恥ずかしぃーっ!!