好みの彼に弱みを握られていますっ!
 それで、キョトンとした顔で宗親(むねちか)さんを見上げたら「あのね、春凪(はな)。僕だって悪いと思った時はちゃんと謝れる男ですよ?」って苦笑されてしまう。

 その言葉に、心の中を見透かされた気がして「えっ。何で分かったんですかっ。エスパーなんですかっ」と思わず口走った私は、結果的に宗親さんのことを「謝れない強情っぱりだと思っていた」と認めたことになってしまって。
 宗親さんに、さらに苦い顔をさせてしまったの。

 ごめんなさい。反省です。

 でも――。

「悪かったと思っていらっしゃるんなら誠意を見せてください。私が宗親さんとの婚姻を実感できるまで、初夜はお預けです。――男に二言(にごん)はありませんよね?」

 ねぇ宗親さん。私、もう少しぐらい意地悪をしても構わないですよね?
 だって宗親さん、それだけのことを私にしたんだもの。

 宗親さんもちゃんと反省してください。

 悪いことをしたと認めてくださった後だもん。

 今更「それはダメです」とは言わせないんだから。
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