好みの彼に弱みを握られていますっ!
***
足利くんとなかなか離れられないままに歩き続けているこの状況で、〝部下の私〟が〝上司の織田課長〟の車に乗り込むのはまずいんじゃないの?と思い始めてソワソワする。
(な、なんとか足利くんとさよならしなければっ)
色々考えた私は、
「……あっ、もしもしっ?」
電話がかかってきた体を装って、それに応答する振りをしながら、足利くんにごめんなさい、お先にどうぞ、とジェスチャーをする。
お願い、どうかこのまま!……と祈る様な気持ちでの演技だったんだけど、足利くんは私の目論見通り、あっさり手を振って離れてくれた。
(よかった!)
***
私と宗親さん、婚姻はしたはずだけれど、宗親さんがそのことを社に公表する必要はないとおっしゃったから、きっと足利くんが駐車場までずっと一緒だったらよろしくなかったと思うの。
宗親さん曰く、婚姻の件を公にしたら仕事がやりづらくなるし、何より同じ部署で働けなくなる可能性が高いから、というのが理由で。
私も宗親さんと離れるのは嫌だから、「内緒にする」という提案にうなずいたんだけど。
足利くんとなかなか離れられないままに歩き続けているこの状況で、〝部下の私〟が〝上司の織田課長〟の車に乗り込むのはまずいんじゃないの?と思い始めてソワソワする。
(な、なんとか足利くんとさよならしなければっ)
色々考えた私は、
「……あっ、もしもしっ?」
電話がかかってきた体を装って、それに応答する振りをしながら、足利くんにごめんなさい、お先にどうぞ、とジェスチャーをする。
お願い、どうかこのまま!……と祈る様な気持ちでの演技だったんだけど、足利くんは私の目論見通り、あっさり手を振って離れてくれた。
(よかった!)
***
私と宗親さん、婚姻はしたはずだけれど、宗親さんがそのことを社に公表する必要はないとおっしゃったから、きっと足利くんが駐車場までずっと一緒だったらよろしくなかったと思うの。
宗親さん曰く、婚姻の件を公にしたら仕事がやりづらくなるし、何より同じ部署で働けなくなる可能性が高いから、というのが理由で。
私も宗親さんと離れるのは嫌だから、「内緒にする」という提案にうなずいたんだけど。