好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

「ひゃー、お腹いっぱいですね。やばーい。ちょっと苦しぃ〜かもぉ〜」

 今日は私、宗親(むねちか)さんと二人で、久々にお寿司をたらふく食べました。
 つい美味しくて、私、胃袋の許容量をかなりオーバーしてしまったみたい。

 大きな声では言えないけれど……確実にお腹がぽっこりしていて、ちょっとどころかめっちゃ苦しいです。


春凪(はな)があんなに寿司が好きだなんて意外でした」

 宗親さんが、お腹をさする私を見てクスッと笑って……。

 その視線に慌ててぽこっと膨らんだ胃の辺りから手を外した私は、「だっ、だって! 一皿いくらって分かるから安心して食べられたんですよぅっ」と庶民的な返しをしてしまう。

 というのも、宗親さんは最初「時価いくら」みたいな回らないお寿司屋さんに私を連れて行こうとなさって。

 私は「そんなお寿司、いくらなの?って思ったら怖くて喉を通りません!」ってゴネたの。

 いつもなら、そんな私をするりと丸め込んでしまう宗親さんなのに、〝何故か今日は〟私のわがまま?をすんなり通してくださって。


「春凪が安心して食べられたのなら良かったです」

 ニッコリ笑ってそう言ってくださったから、私、ますます調子に乗っちゃった。
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