好みの彼に弱みを握られていますっ!
***


 パジャマを着て脱衣所のドアを開けると、デジャブでしょうか。

 宗親(むねちか)さんが廊下で私の出待ちをしていらした。

 いや、入籍(あの)日のリベンジだし、そうなるといいなと思って宗親さんに先にお風呂に入ってもらったんだけど――。

 でも、今はお風呂に入る前とは事態が変わってしまったの。
 戦況は時事刻々と変化するものなのですよ、宗親さんっ!

 なんてことを思いながらススッと宗親さんから距離を取るようにピッタリ壁に背中をくっ付けたら、ギュッと手を握られてしまった。

 ああっ! これもっ【あの日】の再現ですね。

 わかります、わかります。

 でもっ。


「あ、あのっ、宗親さんっ。どうしても今日じゃないとダメですか?」

 この()に及んでまたしてもそんなことを言い出した私に、宗親さんが「今朝約束しましたよね? 『夜に続きをしましょう』って」って。

 ……そうですよねぇぇぇぇ。
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