好みの彼に弱みを握られていますっ!
「だから……いい、です。きて……ください。私の中……、……って、――ひゃぁっ!」

 言い終わるか終わらないかのうちに、両脚を宗親(むねちか)さんに抱え上げられた私は、思わず悲鳴を上げて――。

「まっ、待って、宗親さんっ。それ――」
 恥ずかしい!って続けたいのに、
春凪(はな)っ!」
 って切なく名前を呼ばれたら何も言えなくなるじゃないっ。

 宗親さんはそんな私の顔をじっと見つめながら、グッと隘路を割り開いて押し入ってくる。

 それを感じた私は、驚きのあまり上げた悲鳴がそのまま嬌声に塗り替えられて。

「――ひゃぁっ、ああぁぁ、っ」


 今、宗親さんと私、ひとつになれてる?

 思った途端、キュッと膣内(なか)が締まって、それと同時、宗親さんも質量を増したのが分かった。
 それを意識したら、まだ動かれたわけでもないのに下腹部がキュンキュンと疼くくらい気持ち良くなってしまった。

「あ、ぁんっ、それダメぇ……っ」

 男の人と身体を繋げること自体は初体験じゃなかったはずなのに、男性と結ばれただけでこんなにも幸せな気持ちになれたのは初めてだった。

「宗親さ、っ」

 ――大好き……!

 このまま揺さぶられたら、無意識にその言葉を口走ってしまいそうで怖くなった私は、宗親さんに手を伸ばして
「お願っ……キスして、くださ……」
 危険な口を塞いで欲しいとお願いした。

 宗親さんは私のお強請りに一瞬瞳を見開くと、次の瞬間には「だったら僕を欲しいって……分かるように口、開けてみせて?」って眉根を寄せる。

 彼にこんな余裕のない表情をさせているのは他ならぬ私自身なんだって思ったら、凄く凄く嬉しくなった。

 私は宗親さんの要望通り、「貴方が欲しくてたまらないの」という思いを込めて唇を開いた――。
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