好みの彼に弱みを握られていますっ!
(むっ、宗親(むねちか)さん、うつ伏せでよかった!)

 じゃなくて!

「ななななっ」

 うまく言葉が紡げなくて盛大にどもる私を、宗親さんが腰をしっかりホールドしたまま楽しそうに見上げてくる。

 そうして、
「……なななな〜、なななな、軟骨!とか続けたいわけじゃないですよね?」
 って、どこかで聞いたことのある、お笑い芸人さんの歌を口づさんだ。

 私は意外すぎるその展開に、宗親さんをキッと睨み付けて。「宗親さんにジョイ●ンは似合いません!」ってケチを付けたらククッと笑われた。

 宗親さん、絶対私の反応を楽しんでいらっしゃいますよね?

春凪(はな)は僕が何をしても見捨てないでいてくれるんでしょう? こう見えて僕、お笑い好きなんですよ。春凪にだけ初めて明かす、僕のトップシークレットです」

 って、そんな意外な告白、今は要りません!

 下から見上げるようにして、みんなには内緒ね?って腰元でウインクされて、胸がキュンとときめいて。
 思わず〝私だけ〟というところにほだされて「そうなんですかっ?」って食いつきそうになった自分をグッと制した私を、宗親さんが楽しそうに観察しているのを感じる。
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