好みの彼に弱みを握られていますっ!
足利くんが名前を呼んだのを聞いて「あ」と思ったんだから厳密には思い出したわけじゃないけど、この人は確か――。
「経理課の北条湊人だ。たった四人こっきりの同期の名前ぐらい覚えとけ、管工事課の柴田春凪」
そうそう。
このめちゃくちゃ偉そうな物言い。
眼鏡の奥から鋭い眼光で品定めでもするみたいに私を睨め付けてくるのも、いかにも値踏みしてるみたいで〝経理課〟っぽい。(あ、経理のかた、すみません! あくまでも北条くんは、の話です)
入社式のときにも一番近付きがたいオーラが出ていて、関わり合いになるのはよそうと思ったのを思い出す。
もう一人いた子犬みたいに人懐っこい印象の男性は、確か営業にまわされたはず。名前はやっぱり覚えていないんだけどっ。
「だぁ~かぁ~らぁ~。そんなに親しくなってもねぇのにいきなり呼び捨ては良くないぞ、北条」
足利くんがすぐにフォローを入れてくれたけれど「だったらお前も俺のことは北条さんと呼べ」と即座に切り返すとか、言われた張本人は一向に意に介した様子はない。
「経理課の北条湊人だ。たった四人こっきりの同期の名前ぐらい覚えとけ、管工事課の柴田春凪」
そうそう。
このめちゃくちゃ偉そうな物言い。
眼鏡の奥から鋭い眼光で品定めでもするみたいに私を睨め付けてくるのも、いかにも値踏みしてるみたいで〝経理課〟っぽい。(あ、経理のかた、すみません! あくまでも北条くんは、の話です)
入社式のときにも一番近付きがたいオーラが出ていて、関わり合いになるのはよそうと思ったのを思い出す。
もう一人いた子犬みたいに人懐っこい印象の男性は、確か営業にまわされたはず。名前はやっぱり覚えていないんだけどっ。
「だぁ~かぁ~らぁ~。そんなに親しくなってもねぇのにいきなり呼び捨ては良くないぞ、北条」
足利くんがすぐにフォローを入れてくれたけれど「だったらお前も俺のことは北条さんと呼べ」と即座に切り返すとか、言われた張本人は一向に意に介した様子はない。