好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

 日中スマートフォンでネットサーフィンして色々ブックマークしておいたものを、愛用の白いノートパソコンから開く。

 スマートフォンとパソコンのWebブラウザ、連動してるからとっても便利♪
 開発してくれた皆様、有難うございます!

 画面を見せながら「絵柄は違うんですけど、こっちのナマケモノもすっごく可愛いと思いませんか?」と前のめり気味に声を弾ませたら、クスッと笑われてしまった。

 つい大好きなナマケモノグッズに興奮しすぎた事に気がついて真っ赤になったら、「だったらついでに春凪(はな)も同じものを買いませんか?」と、まさかの提案。


 オマケのように、にっこりと柔らかな最上級の微笑み付き。

 時折そんな風にふと見せられる笑顔が、私へ向けられた心の底からの信頼の証みたいに思えて、ドキッとさせられる。

 だけど、あくまでも私と宗親(むねちか)さんは(いつわ)りの関係。

 そんな勘違いをしてはいけない。


「同じのにしたら、見分けがつかなくなっちゃうじゃないですか」

 長く一緒にいるマグカップ(この子)を裏切れないという気持ちとともに、何とかして宗親さんとの間に、ある一定の線引きをしておかないとしんどくなっちゃう!とも思って。

 私、自然に笑えているかな?って頭の片隅で考えながら言ったら「それもそうですね」ってちょっとだけ悲しそうな顔をされた――気がした。

 きっとそれもこれも私の中の「そうだったらいいな」って願望が見せているものだと思う。


「――あ、でしたらこういうのはいかがでしょう?」

 でも私の大好きな宗親さんは、一筋縄ではいかないのです。

 ニコッと笑うと、宗親さんが「ちょっと失礼しますね」と言いながら私のパソコンをちょちょいと操作なさって。

 私にある画面を見せてきた。
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