好みの彼に弱みを握られていますっ!
「これ……」

 それはピンクを基調としたカップと、水色を基調としたカップ各々に、様々な動物が描かれているマグカップのページだった。

 動物たちは、口元だけがほんのちょっとカップから突き出すように立体的に盛り上がっていて。
 ピンクと水色は対になるらしく、持ち手と持ち手を外側に向けてカップ同士を合わせると、描かれた動物たちがキスをするようになっていた。

 生き物の種類は猫、犬、兎、小鳥、コアラ、カンガルー、猿、熊、パンダ、などなど。

 ナマケモノこそなかったけれど、結構種類が豊富で、組み合わせも好きに出来るみたい。

 おまけに、望めばイニシャルも入れてくれるんだとか。

「すごいですね、これ」

 ナマケモノ縛りの罠に陥っていた私は、こういうページもあったんだ、と宗親(むねちか)さんのリサーチ力に改めて感心させられる。

 やっぱり宗親さんはすごいなぁと思って。

 それと同時――。

「まさかお仕事中にこんなの探してらしたんですかっ?」

 ドキドキしながら問いかけたら

「いくら何でもそんな不謹慎なことはしませんよ。昼休みにRed Roofでホットサンドを齧りながら、ね」

 と心外そうな顔をなさる。
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