好みの彼に弱みを握られていますっ!
***

 バス停まで歩いて行ってみると、既に男性陣が待っていて。

「ご、ごめんなさいっ」

 Misoka(ミソカ)での待ち合わせをすっぽかした上に、またしてもみんなを待たせてしまったことに申し訳なさで頭が真っ白になる。

 そんな私に足利(あしかが)くんが「いや、北条(ほうじょう)がさ、早く早くって急かすもんだから待つようになっただけだから」とクスクス笑って。

 ふとバス停備え付けのアナログ時計に視線を上げたら、確かに北条くんに指定した時間までは、まだあと十分以上ゆとりがあった。

 北条くんは私が時計を確認したのをばつが悪そうな顔でキッと睨みつけてくると、「女を一人、外で待たせるわけにはいかんだろうが」とムスッとする。

 そうして私に、「大体お前がどっかの店の中とかを指定してこないのが悪い」って、私のせいにしてくるの。

(けど……確かにバス停なんかを指定されたら心配されるか)

 ほたるにも散々心配されたのを思い出して軽く反省した私は、「ごめんなさい」って素直に謝って。

「まぁ〜まぁ〜。そもそもココでいいってOKしたのは北条(ほうじょう)なんだろぉ〜? だったら柴田(しばた)さんだけが悪いわけじゃないじゃん? 怒らない、怒らない。ほら、北条ぉー。眉間に皺寄っちゃってるぞぉー?」

 と、ワンコみたいな人懐っこい笑みを浮かべて、武田(たけだ)くんにのほほんと(かば)われてしまった。


「――ったく、どいつもこいつも柴田(しばた)春凪(はな)に甘すぎだ」

 憮然とした顔でそう言いながらも、北条くんの表情はそんなには怒っていないように見えて。

 私は身体の力をふっと抜くと、「北条くん、お願いだからフルネームで呼ぶのやめて?」と、本題とは関係ない抗議を入れた。

 同年代の男の子は苦手だけど……、多分この三人とならうまく話せるようになれる。

 そんな気がした。
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