好みの彼に弱みを握られていますっ!
***
「春凪、そう言えばその服もご友人に借りられたのですか?」
運転しながらだから、宗親さんのお顔は基本前に向けられたまま。
「そんな服、キミは持っていなかったですよね?」
ちょっ、宗親さんっ! その発言、何気にストーカーチックですよ⁉︎
私、自慢じゃないですが、宗親さんの手持ちのお洋服なんて把握していませんもの!
そりゃあ圧倒的な枚数差のせいもあるかも知れませんが。
時折チラリと流される宗親さんからの視線に、私は何だかソワソワと落ち着かなくて。
一人、心の中で下らないツッコミを入れて心の均衡を保とうと試みる。
「わ、私が着てたにょ、ずぶ濡れになっちゃったんで……」
居た堪れなさにうつむきながらそう言ったら、宗親さんが吐息を落とす気配がして。
「そんなに濡れただなんて……身体、冷えませんでしたか?」
初夏とはいえ、夜のこと。
雨の中、濡れたままホロホロと夜の街を彷徨った私は、そのとき結構寒かったのを思い出す。
だけど――。
「ら、大丈夫れすよ。しゅぐ、ほたるにお洋服借りに行きましたもにょ」
ふわふわと答えて、「私、結構優秀なのれ」と胸を張ったら「優秀な人間はそもそも雨に濡れるようなヘマはしません」とにべもないお言葉。
「春凪、そう言えばその服もご友人に借りられたのですか?」
運転しながらだから、宗親さんのお顔は基本前に向けられたまま。
「そんな服、キミは持っていなかったですよね?」
ちょっ、宗親さんっ! その発言、何気にストーカーチックですよ⁉︎
私、自慢じゃないですが、宗親さんの手持ちのお洋服なんて把握していませんもの!
そりゃあ圧倒的な枚数差のせいもあるかも知れませんが。
時折チラリと流される宗親さんからの視線に、私は何だかソワソワと落ち着かなくて。
一人、心の中で下らないツッコミを入れて心の均衡を保とうと試みる。
「わ、私が着てたにょ、ずぶ濡れになっちゃったんで……」
居た堪れなさにうつむきながらそう言ったら、宗親さんが吐息を落とす気配がして。
「そんなに濡れただなんて……身体、冷えませんでしたか?」
初夏とはいえ、夜のこと。
雨の中、濡れたままホロホロと夜の街を彷徨った私は、そのとき結構寒かったのを思い出す。
だけど――。
「ら、大丈夫れすよ。しゅぐ、ほたるにお洋服借りに行きましたもにょ」
ふわふわと答えて、「私、結構優秀なのれ」と胸を張ったら「優秀な人間はそもそも雨に濡れるようなヘマはしません」とにべもないお言葉。